矯正治療を長期安定へ導くために― バイオファンクショナルセラピー(BFT)が果たす根本的役割 ―

日本小児矯正研究会 関西地区評議員
 畑﨑 清孝

小児矯正を検討される際、多くの保護者の方が抱く疑問のひとつに
「矯正後の歯並びは本当に安定するのか」という問いがあります。

結論として、歯を動かすだけの矯正では後戻りのリスクが高いことが知られています。
歯並びは、装置によるメカニカルな力だけでなく、日常の噛み方・呼吸・嚥下・姿勢・習癖といった口腔機能そのものの影響を大きく受けるためです。

そのため当研究会では、歯列の改善と同等かそれ以上に、
機能の改善を重視する「バイオファンクショナルセラピー(BFT)」を治療の基盤として位置付けています。

BFTは、以下の5つの機能を総合的に整えるアプローチです。

  1. 咀嚼(しっかり噛むことによる顎の発育促進)
  2. 呼吸(口呼吸から鼻呼吸への転換)
  3. 嚥下(舌位と連動した正しい飲み込み方)
  4. 姿勢(頭位・頸椎・体幹のバランス)
  5. 習癖改善(指しゃぶり・頬杖・寝方などの無意識習慣)

これらが整うことで、歯列にかかる不正な力が減少し、矯正後の後戻りを抑え、成長に沿った安定が得られます。


医療従事者の皆さまへ

子どもの歯列・咬合は「成長発育の軌道の中でどのように誘導するか」が本質的なテーマです。
装置操作だけに依存した治療は、一時的な改善を得られても、機能が整わなければ再発を免れません。

日本小児矯正研究会では、
・咀嚼・呼吸・嚥下の機能評価
・日常臨床での指導手順
・年齢別の発育ステージに応じた介入プロトコール
など、一般臨床で実践可能な形に体系化したBFTの知識と経験を共有しています。

「成長を味方につける矯正治療」を提供したいとお考えの先生方にとって、有益な学びの場となるでしょう。


保護者の皆さまへ

お子さまの歯並びは、生まれつきだけで決まるわけではありません。
普段の生活の中でどのように「噛む・呼吸する・飲み込む・姿勢を保つ・習慣を繰り返すか」が、顎や歯列の成長に大きな影響を与えます。

矯正治療をより確実に安定させるためには、
歯を動かすだけでなく、こうしたお口の使い方そのものを整えることが欠かせません。

正しい機能が身につけば、
歯並びの改善だけでなく、姿勢・集中力・全身の健康にも良い影響が期待できます。

気になる点やご不安がありましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
お子さまの成長と健康を、長期的な視点でしっかりサポートいたします。